青少年コーナー おすすめの本

令和元年5月「つなぐ・つなげる・つながる」の本

投稿日時: 2019/05/02 cadmin
福岡県立図書館 青少年と暮らしの交流室
令和元年(2019)5月の展示
「つなぐ・つなげる・つながる」の本
平成⇒令和


 平成から令和へ! 第126代となられる天皇の御即位と共に、日本は新たな時代へと引き継がれました。
 そこで今月は「つなぐ・つなげる・つながる」をテーマにおすすめの本を紹介します。

 スポーツで「つなぐ」と言えば、サッカーやラグビーのパス、野球の継投もありますが、ここで紹介するのは陸上競技。たすきをつなぐ駅伝です!


デッドヒート


 駅伝とは、マラソンと同じ42.195kmを6人程度でリレーして走る競技。そこで走者から走者へ手渡されるのが襷(たすき)だ。
「一日中走っていれば、男の顔ができる。」
 上南高陸上部3年のタケルは日々走り続ける。親友の優一と同じくみみっちいことが嫌いで、練習をやりすぎるのはしょっちゅうだ。だが榛名湖駅伝であせってペースを乱し、チームは惨敗。監督から「タケルが流れをとめた」と言われてしまう。
「流れ。流れってなんだ。」とまどう彼をさらなる悲劇が襲う。
 理屈屋の父、料理上手の明るい母、小生意気な弟、そして友人たちとのかかわりの中でタケルは成長し、再び走り出す。
 目指すは高校駅伝関東大会、仲間を信じ、思いのこもった襷をつなげ!


 
 皆さんはラジオ放送を聴くことはありますか? 今やインターネットを通じても聴くことができるラジオ、かつて番組とリスナーを「つなぐ」のはハガキや手紙でしたが、現在はメールやツイッターでリアルタイムに「つながる」ことが可能です。


ハガキ職人タカギ!


「メール職人」より「ハガキ職人」の方が神々しい。
 俺の唯一の居場所は深夜ラジオの大喜利コーナーだ。ラジオネームは「ガルウィング骨折」。高2の青春を日々ネタ作りに費やし、メール投稿を繰り返す。クラスでは目立たない俺、ネタが採用されたときのうれしさは何物にも代えがたい。夏休みには、常連投稿者=「職人」の大喜利ライブイベントにも出演した。
 ところがある日、クラスの女子の一人が同じ番組を聴いているとわかって俺の日常は大きく変化する。失礼ながら、彼女は美少女ではないが……
「お前、好きな子が気落ちしとるのに平気なんか」



 人と人を、人と情報を「つなぐ」インターネットは今や生活のあらゆるところで使われています。その一方で、「朝から晩までスマホね」「ネットの情報なんてウソだらけ」「情報モラルを身につけなさい」……などと言われて、「心配してくれているのはわかるけど、何かちがうんだよね」と思うことはありませんか?


大人を黙らせるインターネットの歩き方

「歩きスマホは危ないぞ!」
「それ、ただ単に『ちゃんと前を見て歩けよ』で、いいんじゃないですか?」
 スマホやタブレットの危険性を指摘された時に生じる違和感、その正体をバッチリ解き明かしてくれるのがこの本です。
 インターネットはあくまで道具、私たちが元気で安全に仲良く楽しく生きるために使うもの。ネットのルールは日常のルールと同じです。
 本書後半には講演「正しく怖がるインターネット」を完全収録。質問「好きな人を振り返らせるメッセージを知りたいです」にも見事に回答されています。青少年の皆さんはもちろん、大人にもおすすめの1冊です。


 ネットやSNSは主に現在の人と人をつなぐものですが、古くから米作りが続けられている田んぼは、過去の人々と私たちをつないでくれます。


予約できます

『千年の田んぼ 国境の島に、古代の謎を追いかけて』石井 里津子/著 旬報社

 日本海の荒波に浮かぶ、山口県萩市の離島、見島。この島には不思議な田んぼが広がっている。その名も「八丁八反/ハッチョウハッタン」。大きな川も、かんがい水路もなかった見島で、まるで現代の区画整理工事で造られたかのような、長方形の広々とした田が古くから存在する。
「今もそこで百年千年、百回千回と人から人の手へと受け継がれ、お米がつくり続けられている――」
 この八丁八反はどのようにして、誰が造ったのか。この田にどうやって水を満たし、稲を育ててきたのか。
 読み進み、謎が解けてくると共に、古代の人々の精神が伝わってくる気がします。ここにあるのは、今も昔も変わらない日本人の願いなのかもしれません。


 過去とつながる手がかりは田んぼばかりではありません。イギリスにおいては、妖精の魔法がその役を果たします。

プークが丘の妖精パック

「生まれた土地に誓います
 これからずっと、愛し、一生懸命働くことを」
           (「子どもたちの歌」)
 ダンとユーナの兄妹が牧草地の片隅で遊んでいると、ふしぎな生き物が現れた。そいつは妖精、名前はパック。その場所は長く忘れられていた「妖精の丘」だったのだ! 塩たっぷりのビスケットをもらって友達になったパックは、二人の前で魔法を使う。
 ローマ時代の百人隊長、16世紀の建築家、ユダヤ人の金融家、次々と現れる歴史上の人物たちが、自らの経験を語り出す。神の鍛冶屋が鍛えた魔法の剣、それをたずさえた騎士たちの冒険が時を超え、イギリスの真の宝へと結実してゆく様はまさに圧巻、歴史のつながりが感動を呼ぶ一冊です。



 今回は以上5冊を紹介しましたが、いかがでしたか? このほかにも仕事や暮らしの本を含めて「つなぐ・つなげる・つながる」の本を幅広く集めてみましたので、どうぞ御利用ください。「青少年と暮らしの交流室」にてお待ちしています。